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<  2012年 01月   >

  • 駅員のけんちゃんとムーミンパパ
    [ 2012-01-31 16:50 ]
まだ今の仕事で食っていけないときに、クラスメイトだった駅員のけんちゃんとムーミンパパみたいな奴と一緒によく夜ドライブに行った。

運転はムーミンパパで、けんちゃんが助手席、私はいつも後ろの席。
パパはいつもうっぷんがたまってて、けんちゃんと私はいつも引きずられるようにして、パパに付いていく。

けんちゃんも私もよく寝ちゃってたり、パパがトイレ休憩のときに、この後どこ行くんだろうね・・早く帰れるようになんとかしよう、とごにょごにょやってるんだけど、なんだかんだパパに付き合うのが日課だった。

けんちゃんは駅員でそのころは安月給で、パパは土日ディズニーランドで働いていた。
けんちゃんにもパパにもそれぞれ好きな人がいて、私にはいなかった。それがとても気楽だった。

パパは、私に「だから、あなたって人は・・・」と言うのが日課だった。
「紐のない風船は、とんでっちゃいますよ」って、ぷんぷんしてた。
「私とけんちゃんは風船をつかまえてあげてるんです」と、最後には女みたいにむくれてた。


パパがよく好きで行った丘には桜並木があって、「春はここものすごいんだよ」と、いつも私たちにしみじみ話した。けんちゃんも私も「ふーん」と言っていた。
一度も春に行ったことはなかったけど。

私が誰も来ないようなはじめての展示会をしたときに、パパは背広で、けんちゃんはいつもの格好で来てくれた。祝儀袋には「5000円」入ってた。


それからまもなくして、けんちゃんは彼女ができて夜のドライブにはいかなくなった。パパと私は喧嘩をしてしまった。


時々、一人でその丘に行きたくなった。
それもやっぱり、春ではないときに。

並木道の咲いてない桜の木をみて、けんちゃんの眠い顔と、パパのしみじみを思い出す。
最高の友達だったのにな、私たち。
by asayubana | 2012-01-31 16:50 | Trackback